米澤穂信「王とサーカス」はミステリー小説嫌いの僕を3度も殴った名作だ(あらすじ・感想・ネタバレ有)

★今月の一押し記事!

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ナマステ!
ネパール在住ブロガーのKei(@Kei_LMNOP)です。

本を読むのが大好きな僕ですが、読むのは実用書ばかり。
小説などのフィクション系の本はほとんど読みません。
ましてや、小説の中でもミステリーや推理小説はもうノータッチのジャンル。

でも、そんな僕のような人に、本当におすすめしたいミステリー小説があります。
それが米澤穂信さんの「王とサーカス」。
とんでもないくらい心をえぐられたこの作品の、あらすじ・感想・おすすめポイントを紹介していきます。

著者は米澤穂信さん!「王とサーカス」はミステリーランキングの上位にランクインされる作品

この「王とサーカス」を書いたのは米澤穂信さん。
ミステリー系の小説を書いている作家さんで、普段小説を読まない僕でも知ってるくらい有名な方。
「インシテミル」という作品が最も有名な作品ですかね。映画化もされました。

そんな米澤さんが書いた今回の「王とサーカス」という作品。
これもまた物凄い作品なんですよ。
ミステリー小説のランキングのトップクラスをとってきたんです。

・週刊文春ミステリーベスト10:2015年第1位
ミステリが読みたい!   :2016年第1位
・このミステリーがすごい! :2016年第1位
・本格ミステリ・ベスト10    :2016年第3位

すごいですね。
これだけ圧倒的に支持されている作品なんですね。

あらすじ:舞台はネパール!国王一家殺害事件という実話をもとにした作品

早速あらすじを紹介していきます。
非常に分かりやすい作品紹介があったので引用させてもらいます。

2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。
現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。
太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。
「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?

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主人公の太刀洗万智は元新聞記者のライター。
そんな彼女が取材先のネパールを訪れた際に、王族殺害事件に巻き込まれてしまうっていのが大筋のストーリーです。

舞台はネパール。僕が今住んでいる国です。
ネパールを舞台にした作品ってなかなかないので、それもあって読んでみることにしたんです。

ちなみに、この作品でも取り上げられている「ネパールの王族殺害事件」。
起きた場所の名称を取って、「ナラヤンヒティ王宮事件」とも呼ばれるこの事件。
これは2001年に起きた実話です。

当時の国王夫妻を含む10名近い王族が、当時の皇太子によって殺害されるという大事件。
ただ気味が悪いことに、この事件の真相は王政が廃止された今でも分かっていません。
本当に皇太子が犯人なのかすらよく分かっておらず、現実の世界で起きた超ド級のミステリーなんです。

事件が起きたナラヤンヒティ王宮は今では博物館になっています。

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なので、観光客でも普通に入れるような場所になりました。
でも、霊感が強い人だと色々見えるらしく…。
それもあって怖いので僕は一度も行ったことがありません。

「王とサーカス」にはつながりのある作品がある!

この「王とサーカス」という作品ですが、実は米澤さんの別の作品ともゆるいつながりがあるんです。
直接的にストーリーにつながってるわけではないのですが、登場人物が米澤さんの別の作品でも出てきます。
それが主人公の太刀洗万智。

彼女の高校時代が描かれているのが「さよなら妖精【単行本新装版】」という作品。
さらに彼女が再び登場するのが短編集「真実の10メートル手前」。

米澤さんは「王とサーカス」のあとがきでも、直接的にはストーリーに関係がないと明言。
前作品の「さよなら妖精」を読んでいなくても問題ないと言っています。
ただ、太刀洗万智の成長という点ではつながっているので、よりストーリーに入り込みたい人は読んでおくといいですね。

※ここから先はネタばれ有です。
本を実際に読んで楽しみたい人は読まないようにしてください

 

ネタバレ①タイトルの「サーカス」が比喩になっていてめちゃくちゃ深い

ここからは作品の内容に言及しながら、グッと心を掴まれたポイントを紹介していきます。
まず1つ目ですが、この作品のタイトルにも入っている「サーカス」という言葉。
この比喩が絶妙で、とんでもない深さを醸し出しています。

王族一家が殺害されてしまった事件の取材を進める太刀洗万智。
そんな彼女がある重要人物に接触する中で、言われた「サーカス」という言葉。
これは「自分に関係のないところで起きる悲劇」が「刺激的な娯楽」として消費されるということを表現した比喩。

だからこそ、その重要人物は太刀洗という日本から来た無関係な記者に、事件について話すつもりはないと一蹴する。

「タチアライ。お前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの演し物だ。
我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ」

このシーンはめちゃくちゃ唸りました。
というのもタイトルを見て「なぜ王と”サーカス”なんだ?」って思ってたからです。
「ネパールとサーカスは直接何か深いつながりがあるものでもないしな~」なんて思ってました。

そうしたら、痛烈な比喩になっていたんですね。
これには痺れました。

ネタバレ②記者としての「信念」を問い詰められる太刀洗を自分自身に投影してしまう

これまた太刀洗とその重要人物のやり取りのシーンから。
その重要人物は太刀洗に、記者としての「信念」を何度も問いかけます。

なぜこの王族殺害事件を伝えたいのか?
なぜ太刀洗が伝える必要があるのか?
太刀洗のジャーナリストとしての「信念」は何なのか?

これを徹底的に太刀洗は問い詰められます。
でも今まで全く考えてこなかったことなので、当然のように表面上の薄っぺらい言葉でしか答えられない。

わたしはこれまで、なぜ伝えるのかを深くは考えずにいた。
あえて、そうしてきたのだ。
考えるよりも先に手を、足を動かすことがプロだと信じていた。
けれどいま、問われた。
考えるよりも先にすべきことがあるという理由で、考えていなかったことを問われている 。

僕はこのシーンを読んでいて、まるで自分自身の「信念」を問われているような感覚に陥りました。

なぜ僕はネパールにいるのか?
このネパールで青年海外協力隊としてボランティアをするのはなぜなのか?
全く関係のない異国・ネパールに首を突っ込む意味は何なのか?

そんなことを自分自身に問いかけられているように、完全にこのシーンの中に入り込んでしまいました。

「信念」に正解も不正解もありません。
「信念」は人の価値観そのものだから、大事なのは「間違ってる・間違ってない」ではない。
大事なのは「信念」をしっかり持ってるかどうか。

まるで自分の喉元にナイフを突きつけられているような感じ。
小説とは思えないほど、考えさせられました。

ネタバレ③先進国の「正義」が途上国の「悲劇」を生み出すこともある

青年海外協力隊として「国際協力」の世界にいる今、僕が最も心を掴まれたのはここ。
先進国の「正義」が途上国の「悲劇」を生み出すこともある。

先進国の人間がよかれと思ってやった「正義」。
それが途上国の人にとっては最悪な「悲劇」を生み出してしまう。
そんな例がこの作品の中では何度か出てきます。

「増えた子供たちが絨毯工場で働いていたら、またカメラを持ったやつが来て、こんな場所で働くのは悲惨だとわめきたてた。
確かに悲惨だったさ。だから工場が止まった。
それで兄貴は仕事をなくして、慣れない仕事をして死んだ。」

先進国の人間からしたら劣悪な環境の工場で人を働かせることはあってはならない。
だからこそ、それが自身の「正義」だと信じて、工場を止めるために報道をする。
そうすると、工場が止まる。「やった~!みんなハッピー!」とはならない。

なぜならどんなに劣悪な環境であってもそこで働いている人は、そこで働かざるを得ないから働いているのだから。
そこまで考えずに、事実を伝えることだけをすると思わぬ「悲劇」を生み出すことがある。

「サーカス」を伝えることがまた新たな「サーカス」をつくりだす。
これまで「伝える」ことは「正義」であると僕自身も思ってました。
それだけにこの事例にはめちゃくちゃ考えさせられました。

感想:珠玉のミステリー小説!まさか3度も殴られるとは思わなかった

米澤穂信さんの「王とサーカス」を紹介しました。

小説だと思って気楽な気持ちで読んだからか、なんだかパンチを食らったような気分。

「サーカス」。
「信念」。
「正義」は「悲劇」。

色々と考えさせられることがあり、忘れられない作品になりました。
まさか小説に3度も頭をガツンと殴られるとは夢にも思いませんでした。
こういう体験が得られるなら、もっと小説も読んでいきたいと思わされた作品です。

僕みたいに普段小説を読まない人はもちろん。
普段本自体をなかなか読まない人にももってこいの作品ですよ。
読んでいくうちに止まらなくなって、僕は3時間くらいで一気に読んでしまいました。

2016年に買った本の中でも、ベスト10に入るくらい面白かったです。
ちなみに僕が選んだベスト10はこちら。

次は⇒2016年に買ってよかった本!130冊から厳選したおすすめ10選

ネパールのアイドル、ラプシーちゃんの一言!

私もあなたの渾身のパンチで殴られたいの~

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