Kei's Way@Nepal

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僕はネパールを変えることができない。

~ネパール在住青年海外協力隊が贈る、生き方に悩む20代が前に一歩踏み出したくなるブログ~

朝井リョウの「武道館」は人生の転機で人生に迷ったら読む本

D.おすすめBooks

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ナマステ!

読書好きな僕ですが、普段小説はあんまり読みません。 なんでかっていうと、読んでいても学びがないものが多いからです。 でも、この小説は読んでいて本当に勉強になりました。

朝井リョウさんの「武道館」

テーマは「アイドル」。 だけど、アイドル好きじゃなくたって全然いい。 そこはどうでもいいんです。

一言で言うなら、人生の転機に人生に迷っている人にぴったりの本なんです。 その理由を、名言を紹介しながら書いていきます。

「武道館」のあらすじ

まずは気になるあらすじです。 Amazonより引用します。

結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。
独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、
さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。
しかし、注目が集まるにしたがって、望まない種類の視線も彼女たちに向けられる。

「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」
「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」

恋愛禁止、スルースキル、炎上、特典商法、握手会、卒業……
発生し、あっという間に市民権を得たアイドルを取り巻く言葉たち。
それらを突き詰めるうちに見えてくるものとは――。

Amazon 朝井リョウ「武道館」

冒頭でも言いましたが、「アイドル」を題材にした小説なんです。 5人組の女性アイドルグループが「武道館」を目指して頑張っていく話。

「じゃあ頑張ることのすばらしさを描いた青春ストーリーなのか!」と思うかもしれません。 ところが全然爽やかじゃない(笑)

恋愛禁止だったり、握手会の参加券でCDを売ったり。 今の「アイドル」を語る上で、「これってどうなの?」ってみんなが思うようなところ。 そんなところにこれでもかってくらい突っ込んでる。

なので、意外にもアイドル好きはあんまり楽しめない作品かもしれないですね。

「武道館」は「人生の選択」について考えさせられる小説

この「武道館」という作品。 題材になっているのは「アイドル」。 でも、この作品の本当のテーマは「人生の選択」なんです。

もうね、僕らの人生を左右する「選択」っていうものに関して嫌でも考えさせられます。 読む中で、「選択」が僕らにとってどういうものなのかがよく分かるようになっていきます。

作品中の言葉を引用しながら紹介していきます。 ネタバレはないように書きますので安心してください。

「選択」とは限りあるものの中から何かを選ぶことで、「自分」を形成すること

まず「選択」っていうものは限りあるものの中から何かを選ぶことなんです。 それを通じて、「自分」というものを形成していく行為なんです。

限りあるものっていうのは、使えば失われるもののこと。 お金が一番分かりやすいですね。

そんな限りあるものを何に使うか。 これを「選択」することで、自分らしさが出ます。

お金とか体力とかさ、限りあるものをどう使うかってところに、そいつらしさって出るじゃん。
俺はバカだから、後先のことを考えたり、体力温存したりってことができないわけ」

逆に言うと、無料のものを選択しまくっても自分らしさは出ません。 この言葉は僕に刺さりました。 確かにYoutubeって無料だから、本当に見たくなくても見ちゃう。

もし動画が1本ずつ有料だったら全然違うだろうな。

まとめサイトも無料、Youtubeも無料、アプリを使えば電話もメールも無料、何もかもが無料。
何かを手に入れたい、と思ったとき、人は、まず無料で実現できる方法を考える。
それはきっと普通のことだ。
誰だって、できればお金を使いたくない。  
誰かが教室のドアを開けた。冷たい空気が、愛子の頰を叩く。  
だけど、無料で手に入るものとはつまり、全員が同じように手に入れられるものだ。
全員から同じ距離の位置にあるものだ。
それに、何かを引き換えに手に入れているわけではないので、もしそれが気にいらなければ、自分の持ち物を減らすことなく、手に取っては捨て、手に取っては捨てを繰り返すこともできる。
そんなことが、この一秒の間にも、数えきれないほど行われている。

だからお金を使わないで選択し続けると、自分が本当は何を求めているのかが分からなくなる。

お金を払うって、自分が何を欲しがってるのか、自分が何だったら満足するのか、すげえ考えるしすげえ選ぶってことじゃん。
金も払わないで、何でもある中から手に取り続けてたらさ、そりゃ、自分がどんなヤツかってわかんなくなるよ。

金払ってなかったら、期待外れのモンでも、まあいいかってなっちゃうし。
めっちゃ良かったモンでも、ラッキー、くらいだし。
どっちも同じくらいの距離にあるっつうか」

そう考えると、たかだかお菓子を選ぶ場合でも、真剣に選択しないとね。

チョコとチーズが入れ替わっていたことに気付いたるりかは、顔を真っ赤にして怒っていた。
自分にとって許せること、許せないことは、ああいう小さな出来事からきっと、わかっていく。
限りあるものから何を選び取るかということは、自分はどんな人間なのかという気付きに、繫がる。

お金だけじゃなくて、時間もそうですね。 限りあるものを何に使うかを日々「選択」することが「自分」になるんです。

「他人の選択」ではなく「自分の選択」をする

そんな大事な「選択」という行為。 だからこそ、ちゃんと「自分の選択」にしないといけない。

「社会的にこうだから」とか「今までこうしてきたから」とか。 そんな知らない誰かが決めたことを、そのまま「自分の選択」にしてはいけない。

アイドルが恋をしてはいけないということは、私が生まれるずっと前に、知らない誰かが決めたことだ。
生涯ひとりの人を愛し続けなければならないということだって、お母さんが生まれるずっと前に、知らない誰かが決めたことだ。
自分たちはこれまでずっと、自分ではない誰かが決めたことを、まるで自分たちが決めたことのように、何の抵抗もなくそのまま甘受してきたのだ。
「私たちに、こうすべきだ、こうすべきだって言ってくる人の頭の中にばっかりいたら、ダメだよ」

いや~痺れます。本当にその通りすぎて。

「他人の選択」をそのまま「自分の選択」にしないのって楽じゃないです。 色々言われますし、変人扱いされますし。 僕も3年で大企業を辞めましたが、今でも言われますもん。

「なんであんないい会社を辞めたの?」って。

でも「他人の選択」をそのまま受け入れたら、それは「自分」じゃなくなりますよ。 だからみんな、自分が何をしたいのか分からなくなるんです。

社会や大多数の人間。 そんな「他人の選択」なんて無視しましょう。 「他人の選択」と「自分の選択」は違ってていいんです。

人生の分岐点で行う「人生の選択」は「正しかった選択」にしていくもの

それでも「選択」って難しいです。 人生の転機や分岐点で行う「選択」は特に。

なんでかっていうと、その選択が正しくなかったときに失うものが大きいから。 だから、そういう選択は本当に難しい。

でも、「人生の選択」は「正しかった選択」にしていくものなんです。

この場面、読んでてグッときました。

進学か就職かで悩んでいたあの子。コン。
愛子はやりたいことが早く見つかっていいよね、と、言ってきたあの子。コン。
実家から通える距離に働きたいところがないと嘆いていたあの子。コン。  
最後まで、自分の学力より少しレベルの高い大学を受けるかどうか、悩んでいた大地。  

愛子は、その全員の選択に、テストで正解を出したときみたいに、赤いマルをつけたかった。

やりたいこと、夢、今自分がいる環境、現実。
すべては両立しない。だから人は選択をする。
ならば、その選択にどうにかしてマルをつけたかった。

赤いボールペンが天井にぶつかる音で、マルの存在だけでも、伝えたかった。

僕らにできるのは、人生の転機で正しい選択をすることではない。 選択した後に、自分の選択を「正しかった選択」にすること。

【正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ】  
どん、どん、と、背中がまた揺れる。

【何かを選んで選んで選び続けて、それを一個ずつ、正しかった選択にしていくしかないんだよ】

「正しい選択」をするのではなく、「正しかった選択」にしていこう。

人生の転機で人生に迷ったら「武道館」を読もう

僕も2015年3月に会社を辞めました。 途上国で自分の事業を興すという大きな選択をしました。 まさに人生の転機、分岐点だったと思います。

会社を辞めるという「選択」によって、安定した生活や大企業でのキャリアを捨てました。 失ったものは大きいかもしれない。 でも、この選択によって、僕は「自分」というものを見出した気がします。

会社を3年で辞めるのは、社会の大多数の人の「他人の選択」では間違いかもしれない。 でも、「他人の選択」ではなく「自分の選択」を行なったことに後悔はない。

この「選択」が正しい選択であったかは分かりません。 でも「正しかった選択」にするしかない。前向いて頑張るだけなんです。

人生の転機にいて、人生に迷っている人。 人生の分岐点にいて、悩んでいる人。 「自分の選択」が「他人の選択」と違って苦しんでいる人。

そういう人こそ、この「武道館」という作品を読んでほしい。

限りあるものを選択することが「自分」になる。 「他人の選択」ではなく「自分の選択」をする。 「正しい選択」をするよりも「正しかった選択」にする。

自分の生きる人生を愛そう。 そして、自分の愛する人生を生きよう。

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