Kei's Way@Nepal

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僕はネパールを変えることができない。

~ネパール在住青年海外協力隊が贈る、生き方に悩む20代が前に一歩踏み出したくなるブログ~

デービッド・アトキンソン「新・観光立国論」の3つのポイント!要約まとめ!

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ナマステ! 最近、話題になっている本といえばこちら。

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

この本、めちゃくちゃ面白い。 なぜなら僕ら日本人に強烈な問いかけをしてくれるから

「日本ってすごい」的な風潮を最近、すごく感じます。 特にそんな「日本すごい論者」に突き刺さる内容になってます。

どんな問いかけをしてくれるのか。
内容を要約しながら、具体的な例を3つ紹介していきます。

著者は小西美術工藝社社長、デービッド・アトキンソンさん

具体的な問いかけを紹介する前に、この本の著者を紹介します。 著書はイギリス人のデービッド・アトキンソンさん。 そうです。外国の方なんです。

日本人ではなく、外国人が書いている本なので説得力がありますね。

しかも、この方、ただの外国人ではないんです。 小西美術工藝社という日本の老舗企業で社長をされています。

しかも、この会社、ただの会社ではないんです。 神社やお寺などの日本の国宝や重要文化財を修理する会社なんです。

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外国人というだけでなく、日本文化を保護する企業の社長が書いた本です。 さらにアトキンソンさんですが、大学では「日本学」を専攻し、日本滞在歴も25年。 そんな方が書かれた本に、説得力がないわけがありません。

「新・観光立国論」(1)「観光立国」の意味、正しく理解してる?

1つ目の問いかけはこちら。 「『観光立国』の意味、正しく理解してる?」

2015年の訪日外国人数は過去最高を記録しました。

訪日外国人客、次なる目標は3000万人:日経ビジネスオンライン

これだけ見ると、「日本ってやっぱすごいな~」って思っちゃいます。 盛んに叫ばれている「観光立国」にもはやなれたかのように感じます。

でも、アトキンソンさんは語ります。 日本は、まだ「観光立国」になっていないと。

日本はすでに「観光大国」になっている、と胸を張る人もいるかもしれません。
それはマスコミが、京都などに多くの外国人観光客が訪れており、過去最高の1300万人超になったなどと報じているからでしょうが、残念ながらそれは大きな勘違いです。
日本ほどの国で外国人観光客が1300万人*しかこないというのは、驚くほど少ない数と言わざるをえません。
世界を見渡せばこの2倍、3倍は当たり前です。
日本は「観光大国」とはほど遠い、「観光後進国」なのです。

*2014年の記録

「日本ほどの国で」と語っているのは、日本が「観光立国」の4つの条件を揃えているからです。 その4つの条件とは「気候」「自然」「文化」「食事」。 これが4つとも揃っている国は「観光立国」になれるんです。

例えば、世界一観光客が来る、フランス。 4条件が全部揃っています。

・「気候」:極端な暑さや寒さがなく過ごしやすい
・「自然」:ビーチやスキーリゾート、アルプスやブルゴーニュ
・「文化」:ルーブル美術館、ヴェルサイユ宮殿
・「食事」:フランス料理、ワイン

日本も実は4条件が揃っている。なのに、2013年の記録では世界26位。 仰る通り、「観光後進国」であって、「観光立国」ではないことがよく分かります。

「新・観光立国論」(2)「おもてなし」を勘違いしてない?

日本には「観光立国」の4つの条件が揃っています。 でもそれなのに、なんで日本は「観光立国」になれていないのか?

それは、「観光立国」として推すべきポイントを勘違いしているからです。 言うまでもなく、押すべきポイントは4つの条件。

でも実際にはゆるキャラ、治安の良さ、交通機関の正確さなど様々な勘違いポイントを推している。 特に代表的な勘違いとして挙げられているのは、日本人が大好きな「おもてなし」

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「おもてなし」では海外から観光客は呼べないことが痛烈に書いてあります。

今、日本国内の「おもてなし」にまつわるさまざまな議論を聞いていると、すべての人に対してにこやかにほほ笑んで、分け隔てなく対応するという、何やら見返りを求めない「奉仕の心」のようなイメージが浸透していますが、私から言わせればこれは非常にナンセンスです。
何度も申し上げているように、世界広しといえど、異国の人々の「性格のよさ」や「奉仕の心」などを確認するためだけに、高いお金と時間をかけて海外旅行をしようなどという人はいません。
それはあくまで観光のついでに遭遇した「ちょっとした現地の人との触れ合い」程度の話なのです。

それ以上に外国の方にとって、日本で受けるサービスはあまりよろしくないと言っています。

外国人が日本にやってきて驚くのは「できません」「それは無理です」「ここではやっておりません」と、やたらと「否定」の回答が多いことです。
たとえば、レストランで食事をする際、こういうふうに盛りつけてほしいとか、食材の一部を別のものに代えてほしいとか、閉店時間を5分過ぎているけれどそれでも注文したいなどということを主張する外国人は、珍しくありません。
それは別にクレームをつけているとか、客だから何でも言うことを聞けという横柄な態度からではなく、店側のサービスとは、客のニーズに応えるものだと思っているからです。

また、そもそも「おもてなし」の大前提として、「日本人同士だからできる」ということ。 これが完全に僕らの頭から抜けちゃってます。

世界には72億人の人が生活していますので、みな価値観も微妙に違います。
日本人がよいと思う「おもてなし」がすべての人に受け入れられ、評価されるはずはありません。
特に「おもてなし」の特徴の1つである、「言われる前に自分たちで考える」というスタイルのサービスは、同じ日本人同士だからこそ成り立ってきた部分もあり、日本人が違う人種や文化の異なる人たちのニーズをすべて読み取るのは不可能だと思うのです。

これなんか正論すぎて恥ずかしくなりました。

客を「おもてなし」するのなら、まずは相手が何を考えて、どういうことを求めているのかを考えなくてはいけません。
直接彼らの声に耳を傾けたうえで「おもてなし」をすればいいのに、「聞く」というプロセスを飛ばして、「相手はこうだろう」と思い込み、自分の都合のいいように解釈した「おもてなし」を押し付けているのではないでしょうか。

「自分が良いと思うものは、相手も良いと思うに決まってる」という「ジャイアン思考」。 海外に出て初めて分かった日本人の一番悪い点だと個人的には思っていますが、それが「おもてなし」にまさに出ちゃってますね。

海外にいる今だからこそ、より気をいけないといけないですね。

「新・観光立国論」(3)「日本のすごさ」をちゃんと伝えられてる?

「観光立国」の4つの条件のうちの1つである「文化」。 日本には、世界にも誇れるオリジナリティ溢れる文化があり、「文化財」も豊富です。 そんな豊富にあるコンテンツを、著者は活かすべきだと書いています。

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著者は本の中で、日本はヨーロッパやオーストラリアからの観光客を増やすべきだと述べています。 それは「まだまだ観光客数が少ない」「よくお金を使う」という2点が理由です。 そんな彼らに人気なのが「日本文化体験」「神社・お寺巡り」

つまり、日本の文化財を見てもらい、日本文化を体験してもらうことが観光戦略としても有効だということ。 でも、現状は全然活かしきれていない。魅力が伝わっていないんです。

例えば世界遺産にもなっている、二条城。

「世界遺産というからきてみたけれど、ただの箱だった」「空っぽの部屋を見せられても、何がすごいのかわからない」「もっと二条城が日本の歴史で果たした役割を説明してもらいたかった」「もっと展示がないのは残念」……などなど。
残念ながら、英語で書かれている日本の歴史の書籍なども、二条城などの文化財のバックグラウンドについては不十分な情報しか掲載されていないので、日本にやってくる前に勉強することもできません。
つまり、ほとんどの外国人観光客は、何がすごいのか、細かいことはよくわからないまま世界遺産見学を終えるという、なんとも後味の悪い二条城観光をしているというわけです。

なんでこんなことが起きるのか。 それは、ちゃんと外国人用の展示がされておらず、説明も不十分だから文化財の魅力が伝わっていないからです。

もちろん、外国人にも人気の東大寺の大仏など、その大きさに圧倒されるものもありますが、基本的に日本の文化財は、一見すると地味なのに、よくよく聞くと「すごい」というものが多いのです。  
これはどういうことかというと、特に日本の文化財には「説明」が必要不可欠ということです。

これを読んで、「日本人は日本を『すごい』って言うけど、そのすごさってちゃんと伝えられてるのか?」という問いかけだと感じました。 特に海外にいる僕ら日本人は、日本や日本の文化を紹介する機会に溢れています。 そして、その機会によって、現地の人にとって、日本が魅力的かそうでないかが決まります。

まず、根本的に日本人自身が、日本のすごさをちゃんと理解できてるのか。 その上で、何が、どうすごいのかを自分の口でちゃんと説明できてるのか。

「新・観光立国論」からの最大の問いかけ:「日本人はもっと海外に出なくていいの?」

アトキンソンさんの本を読んで、僕は3つの問いかけを感じました。

「『観光立国』の意味、正しく理解してる?」
「『おもてなし』を勘違いしてない?」
「『日本のすごさ』をちゃんと伝えられてる?」

でもこの3つとは別に、最も大きな問いかけがこちら。 それは「日本人はもっと海外に出なくていいのか?」ということ。

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「観光立国」のポテンシャルがありながら、日本が「観光立国」になれていない。 それは結局、根本的に「日本人が海外に出ていないこと」から起こっているからです。

「観光後進国」であることを理解していない。 これは世界の本当の「観光立国」を知らないから。

日本人が大好きな「おもてなし」が通用しないことが分からない。 これは海外の人の価値観や趣向が分かってないから。

日本文化の魅力を海外の人にうまく伝えられていない。 これは日本文化の魅力を海外の人に伝える機会がないから。

そもそも、海外で観光したことがない人に、海外からの観光客をうまくもてなすことができるでしょうか。 僕にはうまくおもてなしができるとは思えません。

話しかけてもみんなに逃げられることがどれほど寂しいことか。 言葉が通じないことがどれほど怖いことか。 Wifiが街中で使えないことがどれだけ不便か。

こういうのって実際に自分が経験しないと分からないです。 想像しろっていっても無理。

最近の「日本すごい論」も同じです。 本当に日本がすごいかどうかは、日本を客観的に見れる場所に自分が行かない限り分かりません。

日本が本当の意味で「観光立国」になるには、もっと日本人が海外に出るべき。 僕はそんな風に思います。

それにしてもこの本は凄まじい内容でした。 全ての日本人におすすめです。

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論